輪島高校に通っていたのはもう三十年前。燃えに燃えた球技大会や合唱コンクール。楽しい思いでは色々残っています。でも、今でも鮮明に思い出すのは、休み時間の廊下や放課後の教室で友人たちと語り合った時間。友人の先生モノマネに大笑いし、噂話や恋愛話に花を咲かせたあとは、必ず将来のことが話題に。卒業後は希望通りに進めるのか、その先はどうなるのか、大きな不安に潰されそうになっていました。だからこそ、友人たちとたくさんの「言葉」を交わし合うことで、励まし励まされ、自分の進むべき道、やるべきことを見出していったように思います。その友人たちと交わした多くの「言葉」が、今の仕事の原点になっています。
私は、本や雑誌の記事を書く仕事をしています。二〇〇八年、デビュー作である『東大合格生のノートはかならず美しい』を出して以来、十代に向けて書く仕事を多くやってきました。それは、不安や閉塞感で苦しく感じていた高校時代の自分や友人たちに向けるよう、同じ思いをしている子に少しでも楽になってほしいという思いから。「大丈夫だよ」と背中を少しでも押せたらと言葉を紡いでいます。
輪島高校の卒業生の多くは、故郷を離れます。高校生活は、期限つきの愛おしい時間。ぜひ、友人たちとたくさん語り合ってください。その交わされた「言葉」が、この先の一歩を踏み出す勇気となり、長い人生の指針となってくれるはずです。