※「角」は真ん中の縦線が下に突き抜けている漢字
輪島高校では、PTA・同窓会をはじめ、地域の方々のご協力を得て、学校をより充実したものにすることができ、大変感謝しています。教職員の方々も、生徒の目標達成に向け、熱心に努力していただいたことに、この場を借りて御礼を申し上げたいと思います。
今回の原稿依頼を受け、生徒との係りについて、自分に問いかけてみました。「思い出」として特に残っているものの一つは、卒業証書に卒業生一人ひとりの氏名を記入していた時の思いでした。
この作業は、校長職に就いた時から、自分に課したものでした。小・中学校の校長先生方にとっては、ごく普通のことだったかもしれませんが、高等学校では、書に秀いでた方に依頼することが一般的でした。生徒を責任をもって卒業させたいという気持で挑んだものでした。「一生に一枚だけの証書」は、とてもプレッシャーのかかることがらでした。
一人ひとりの生年月日と氏名を書き進める中、名前に込められた保護者からの願いが、ひしひしと伝わってきました。それらの願いに学校は応えられているのかと考えさせられる場となりました。また、人生の中のわずか三年間とはいえ、二度と来ない貴重な年月です。その内の二年間を私は担当した訳ですが、その間、機会がある度に生徒に送ったいくつかの言葉が、少しは心に届いてくれているのだろうかと自問自答する場ともなりました。この場の事が、退職し二十年近くたつ今でも強く心に残っています。
最後になりましたが、学校が百周年を迎えるとのこと。正面玄関に掲げられている「石川県立輪島高等学校」の輪島塗りパネルがこれからも輝き続け、多くの人材が青桐のように育っていくことを願って筆を置きます。